[社員のおすすめする本] 大人論
大人論 ―劣化する日本人への警告―
藤原正彦著の『国家の品格』が260万部を超える大ベストセラーとなり、
多くの日本人の中で忘れられていた「品格」と云う言葉が
2006年の新語・流行語大賞となり、追随作となる『女性の品格』、
『ハケンの品格』も同時に大きな話題を呼んだことから、
この語は一気に人口に膾炙されることとなった。
「劣化する日本人への警告」と副題された本書も、
そうした「品格」なき疲弊した日本社会に喚起し、
苦言を呈する追随作のうちの1つである訳だが、
先ず、著者の経歴を見てもらえば、
この書がそうした一連のものとは一線を画していることがすぐに分かるだろう。
著者である信田氏は電通出身でドイツ、タイ、シンガポールを駐在し、
退職後はその経験を活かし大学で教鞭をとり、
マーケティング・ブランド戦略コンサルタントを専門としている。
その為か、書中で使われているキーワードがどれも斬新で気が利いており、
読者にとっては理解がし易く大変面白い。例えば、日本の高度経済成長を支え、
今日の日本社会の中核を形成している四十代初めから六十代半ばの人たちを、
モノ(商品)に恵まれた時代を生きたと云う背景から、「大きいことはいいことだ世代」と呼び、
その子に当たる世代(15,6歳から30歳くらい)、特に十代から二十代の若者を、
1990年頃以降のデジタルの発展と共に成長したと云う背景より「スイッチ世代」と呼んでいる。
また、感情で行動し、冷静さと思考がなく、肉親を殺害するなどと云う悲惨な事件が後を絶たない、
昨今の社会状況を「幼稚化現象」と呼んでいる。
これらの造語は大手広告代理店で長年勤務をしていた経験を持つ著者によって、
まさに広告のキャッチ・コピーをつけるかのようにキャッチーで的を得た名称で呼ばれている。
全編を通じ、著者は論理的で多角的な解決策を幾つも提示してくれているが、
本当の「品格」を社会に定着させるには、やはり、読み手である私たちの日常に於ける、
意識の変革と不断の努力に委ねられるだろうと思う。

担当H・S
この本に興味を持たれたら、
ぜひ、C&R研究所さんのHPから紹介ページをご覧になってください。


