[社員のおすすめする本] フリーズする脳、ヒトは食べられて進化した
今回は2本立て!
フリーズする脳―思考が止まる、言葉に詰まる

著者 築山節
発行 NHK出版
このところ書店に行くたび、手軽さに引かれてふらふらと新書を数冊買ってしまうのですが、
手軽に読める分、2週間後には何を読んだかすら思い出せない……。
もしかしたら、本のせいではなくこちらの頭の問題か……。
最近は言葉に詰まるし、もしかしたらじゃなくて多分……。
などと思い悩みながら思わず手に取ってしまったのが本書でした。
年齢による仕事上の地位の変化など、社会環境の変化(現場からの隔離など)が
もたらす対応力の鈍化が、必然的にフリーズ脳に結びつくことを、理解しやすく事例とともに述べ、
日常的な活性化の方法などにも触れられています。
器質的な脳の障害を手術で治療できても、刺激のない環境では能力は活性化しないという、
脳外科医として医療現場に身を置いていた著者の指摘を読んで、
パソコンやPDAを使って外部記憶に頼ることの多い、変化のない日常を過ごしているうちに、
迷い込んでしまった、行き止まりの惚けの道からの脱出を焦る儚い48歳となったわけです。
しかし、毎朝の新聞の音読と夕食後のなぞり書きが48歳の抵抗ではではちと侘びしいので、
オンラインゲームのバーチャルな環境からから脱却し、
酒場での血の通ったコミュニケーションの復活を試みたいと……。
そんな焦点的自殺まがいの年寄りの冷や水より、
自覚のあるうちに先生に診てもらうべきだというのが家人の意見でありますが……。
(幸せな惚けの道を目指して儚い抵抗を夢見る48歳)
この本に興味を持たれたら、
是非NHK出版さんの紹介ページをご覧になって下さい。
紹介ページはこちら
ヒトは食べられて進化した

著者 ドナ・ハート; ロバート W.サスマン
翻訳 伊藤 伸子
発行 化学同人
狂った猿、兄弟殺しといった、アングロサクソンの人類観に大きな波紋投げかける本。
発掘された古代人類の頭蓋骨の瑕が、仲間同士の殺し合いの結果でなく、
豹やハイエナに頭から齧られ、餌となった哀れな被捕食者の証しであることを、
捕食者の歯形と類人猿に対する捕食行動から説明していきます
(顔の正面から噛まれて頭の天辺に牙が食い込んでいる図を見ると、
こんな目には遭いたくないと切実に思いました)。
また、類人猿としては強大なゴリラの群れが数頭の豹のグループにつけ狙われて
消滅してしまった事例や、現在のアジアでの虎・東欧での狼、北米での山猫、
アフリカでのヘビによる人間の捕食と思われる少なくない事例を挙げ、ヒト科とその親戚達が
ガゼルやウサギなどと同様に脆弱な被捕食者である事を論証しています。
捕食者に対抗する手段として構成された集団が現在の人間社会の始まりであるという考察も、
猿の集団を通して説明されます。もともと、狩猟民族としての自意識もなく、
キリスト教徒としての原罪意識とも無縁な日本人の私としては、
コペ展的なショックを感じることもなく、
「我々の親類やご先祖様はネコや犬の親戚共に喰いまくられていたのだな、
蛇や猛禽類にも根源的な恐怖心を感じるし、夜の闇や尖った爪や牙への脅えも、
被捕食者としてDNAにすり込まれたんだろうな(ゴキブリ・ネズミが怖いのも?……)」と、
納得してしまうと共に、日常に不安を覚える臆病な心象が人間としては普通のことで、
不安神経症などではないのだと、妙な感慨を得ました。
ただ、日本兵が戦争末期に東南アジアのワニの群生地に追い込まれ、
一晩の内に連隊が壊滅した話はショッキングで、幼少のころ、
大陸から復員した祖父にこれに類した話を聞かされ、そんなに凄惨な事件だとは
意識せず聞き流していたことを思い出すとともに、思わず手を合わせてしまいました。
この本に興味を持たれたら、
ぜひ、化学同人さんの紹介ページをご覧になってみたください。

担当K・M

