HOLLYWOOD BABYLON I

著者 ケネス・アンガー
監修 海野弘
訳 明石三世
発行 リブロポート
この本にはいくつかの用途がある。
1.ハリウッドの史実本として
2.同写真集として
3.下世話な趣味を満足させるものとして
4.芸能とは、芸能人とはスターとは何かを考えさせる物として 他
映像作家であったケネス・アンガーがこの本を私家出版したのは1965年。
出版社から流通するのは10年遅れて1975年になる。
何故10年も遅れたのか。本書に綴られているのは、
「往年のスターたちによるスキャンダル集であり、いわばハリウッド地獄篇」である。
当時は規制が厳しく、ウィル・ヘイズによるヘイズ規制が有効だったため、
映画の規制同様に映画に関する史実についても日が当たるのには月日を要した。
それが60年代半ば過ぎからの20年代再評価による研究の活発化と、
カウンターカルチャーの隆盛、性や思想に至る表現が徐々に破られてきたことにより
出版される運びになると「バビロン以前」「バビロン以後」という記述が現れるようになり、
「バビロン」はスキャンダルの代名詞となる程の影響力を持つことになる。
ハリウッドは東部の少数のユダヤ商人が、強引に作り上げた映画王国である。
現在の地位や権威は言うまでもないが、20年代にすでにバビロンとして立派に
役割を果たしている。すでにスキャンダルジャーナリズムは賑わい、色恋、
ドラッグの話題が絶えることは無かった。芸能が立派にビジネス化していた20年代すでに、
「闇」を持たずにはいられない性質だったのである。
ほんの少し内容から紹介すると、
・チャーリー"小児科医"チャップリンについて
・ハリウッドサインが「HOLLYWOODLAND」と13文字だった時代、
ペグ・エントウィスルはその13番目の文字「D」によじ登り、そこから投身自殺を遂げる。
(ペグは映画「13人目の女」での端役以降、お呼びがかからなくなった)後日、
サインは「HOLLYWOOD」となる
など、上記に挙げた4つの目的をもれなく満たすことの出来る内容となっている。
加えて日本語訳のすばらしさも白眉だ。原著では恐らく勝手気ままに造語を
並べ立てているであろう事例を、丁寧に訳しており、訳書として手本となるべき方向性も感じる。
さて、翻って日本でもスキャンダルにはこと書かない。色恋や、犯罪が
毎日のようにメディアを踊るが、ハリウッドのそれと比べれば、
まだまだスケール感としては弱い。それは資本主義市場としての
規模の差によるものだけではなく、日本的なタブーの多さにも起因することは
明らかである。是非日本も、
ジョージ・クルーニーの愛豚「マックス」亡くなる
http://www.eigaseikatu.com/news/15033/27535/
さっそうこれはスキャンダルではないけれども、これぐらいの気概を持って欲しいものである。
本書は続編である「ハリウッドバビロン2」も出版されているが、いずれも日本版は
絶版の状況である。是非、復刊を願うものである。
「期待はずれの自殺計画」
ルペ・ベレスは自殺を決意する。女優としての没落、ジゴロの子を妊娠し、
死ぬ理由は十分だった。奔放だが純真なルペは「綺麗に」死ぬために睡眠薬自殺を選び、
ベッドで静かに息を引き取る周到な予定を立てた。しかし死後、発見されたルペは、
部屋を立ち込める悪臭と便器に頭を突っ込み溺死した姿だった。
(詳しく是非、本書をあたって頂きたい)

担当S・K
この本に興味を持たれたら、
ぜひ、紹介ページをご覧になって下さい。(探してみてください・・・。)