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2006年09月 アーカイブ

2006年09月04日

[社員のおすすめする本] 冷血

冷血


著者 トルーマン・カポーティ
訳者 佐々田 雅子
発行 新潮社


「ティファニーで朝食を」で知られる作家トルーマン・カポーティが
約5年にわたって事件を調べあげ、事実に基づいた小説。
あまりに有名な小説だが、新訳がでるまで、この本を手に取ったことはなかった。


1959年11月。カンザスに住む農場主の一家4人が、何者かによって惨殺された。
事件発生から警察による捜査、そして犯人が絞首刑に処されるまでを追っているのだが、
読めば読むほど人間の心の闇とはどこまで深いのかと考えさせられる。
わずか数十ドルしか奪えなかった一家殺人、
逃亡した先でのんきに詐欺を働く犯人たち、
そして逃亡生活中でも大事に持っていた物的証拠、動機のない殺人・・・。


現代の事件でもいえることだが、よく犯人の成育環境を
「犯行にいたるまでの動機」として捕らえる向きがある。
しかしそれは安易に解釈されて報道されていいものなのか。
犯人を掘り下げ・知ることで何が生まれ、そして知らなけらば
何が失われるかということを突き詰めて行く作業自体が
事件全容を見渡すことになるという事に、フツーの人は
戸惑い・拒否してしまうだろう。
なぜならば犯人と被害者以外には無関係だからだ。


だからこそ著者がこの事件を冷静に、
そして客観的に纏め上げているのことで
物語に凄みを与えているのは天才的といえる。
動機のない殺人なんてありえるのだろうか?
ということにも、きちんと事実を調べ、
犯人らの動機や思考には理解できないけれど、
なぜか著者が共感していたような印象も受ける。


また世間を騒がした事件の裁判というのは、
どういう裁判内容なのかというのもカポーティはさりげなく執筆している。
当時からアメリカは陪審員制度。
日本でも数年後裁判員制度が始まるということを、
深く受け止めなければならない。
犯人たちの[罪の償い]である絞首刑が行われるとき、
読者は深いため息をするだろう。
古いとは感じられない、いまでも斬新な本である。


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担当 O・K

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2006年09月11日

[社員のおすすめする本] グレイヴディッガー

グレイヴディッガー


著者 高野 和明
発行 講談社


この『グレイヴディッガー』は追撃と逃走がテーマです。
追う追われるモノは今までも色々あったと思いますが、
サスペンスに溢れた近年稀に見るノンストップストーリーです。


本当に面白いです!なんて、良いことばかり書いてもホントかよ…。
と、思うでしょうが、
もし途中で読むのをやめられる人がいたら顔が見てみたい!


主人公は悪党面で32歳の八神俊彦です。悪さばかりしてきたので、
善行をしようと思い骨髄バンクへの登録をします。
その移植相手が見つかったのでした。


入院を明日に控えた八神は懐具合を解消しようと、
友人の家に向かうのですが全裸の友人の死体を目にするのです。
そこから、スタートの号砲が鳴らされました。


警察・公安・謎の追手・殺し屋。これらからの逃走劇が始まりました。
ゴールは主治医の待つ総合病院です。
ラストも納得の超大作!といえると思いますので
是非是非楽しんでいただきたいと思います。


作者はほかに『13階段』という本も書いてまして、
こちらも大変面白かったですよ。


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担当 A・K

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2006年09月18日

[社員のおすすめする本] 東京大空襲-昭和20年3月10日の記録-

東京大空襲
-昭和20年3月10日の記録-


著者 早乙女 勝元
発行 岩波書店


毎年、8月15日の終戦記念日が近づくと
マスコミが特番や特集記事を組むが、
昨年は60周年でおおきく取り上げられた。

私事ですが終戦の周年と私の満年齢が一緒で且つ、
12月8日(真珠湾攻撃)生まれ、何かの縁を感じる。
当時、私の家族は5人、東京の下町で暮らしていたが、
3月10日に東京大空襲で被災しました。
母親の話では町内で家族全員の生還は我が家だけ、
それは奇跡だとの事です。尤も、伯父は硫黄島で戦死しておりますが・・・。


上記の本は被災者でもある著者が
生き残った人々を取材し戦争とは何かをを訴えた本。
発売当時に一読した。親の体験談と符号する事が多く興味深く又、
いろいろ考えさせられた事を記憶している。
最近、図書館で偶然にこの本をみつけた。

ネットで調べたらすでに絶版。だがあえてこの欄でとりあげた。
一夜にして10万人を焼き尽くした東京大空襲から61年、
この不幸な歴史にあらためて思いをめぐらした次第であります。 


参考

東京大空襲60年母の記録 森川寿美子、早乙女勝元著(岩波書店)2005年3月刊。
その他、東京大空襲に関する早乙女氏の著作本は、河出書房新社、草の根出版、
新潮文庫等で発売されています。


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担当 I・K


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