日はまた昇る 日本のこれからの15年
著 ビル・エモット
訳 吉田 利子
発行 草思社
日本は失われた十年といわれる間にも様々な斬新的改革
(ルール、慣習、プラクティスなど)を続けた。
その累積的な効果は殆どの人が気づいている以上に
政治と経済と金融市場を変え、生産性向上による
新しい持続的成長を可能としている、というのが
本書の主要なメッセージです。
とくに目を引かれたのは、中国の興隆と政治的不安定性、
朝鮮半島の政治的統一の可能性という地政的大変動の見通しのなかで、
日本がとるべき国際戦略の提案でした。
日本は勝ち目のない地域のリーダーシップを巡って中国と争うより、
地域機構や条約という地域ルールや手続きの設定に積極的に参画し、
それを梃子に隣国の「横暴」を抑制するのが良いという。
それによって、経済的安定性と民主主義的熟成度を測る
「水路標識」としての役目を果たし、世界の問題についての発言力も強まる。
これは欧州でかつフランスが抱き、成功した野心になぞらえられるという。
靖国問題についても一見奇想天外だが、一考に値する指摘があります。
「着実に歩む亀(日本)が、足の速い兎(中国)に勝つ」という
御託宣を担ぎ回るより、国益となる地域的・国内的ルールの
設計を冷静に考える、という英国流発想に触れるところに、
日本人にとっての本書の本当の価値があると思います。
是非バブル景気を予告した著者の、これからの日本を感じて下さい。

担当 M・Y
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